就活や転職活動の際にやっぱり気になるのは年収。
昨今は若いうちから転職を見据えて就活する人もいたりと、転職が当たり前になってきました。
もはや終身雇用というのは過去の話。
そんな時代なので、平均年収は役に立ちません。
なぜなら、これらの平均年収は全社員の年収であり、終身雇用が当たり前だった時代に就職した、40歳以上の世代の人の収入も含まれているからです。
これらの世代の人の年収が平均年収を押し上げています。
大企業では上の役職が詰まっている企業も多いので、そのような場合は更に平均年収を押し上げているでしょう。
そこで、転職も一般的になってきたこの時代に注目すべきは、若いうちにどれだけ給料が貰えるかということ。
先日、30歳年収「東京都トップ500社」ランキングという記事があったので、この記事の表を元に、若いうちから給料の高い企業・業界を見るのとともに、なぜそれらの企業の年収が高くなっているのかを考えて見たいと思います。
目次
30代平均年収が高い業界はこの4業界
トップ500社中、上位20社を見てみます。(21位以降は業界のバラツキが大きくなるので)
30歳年収「東京都トップ500社」ランキング
- M&Aキャピタルパートナーズ 1847万
- GCA 1827万
- ストライク 1440万
- 日本M&Aセンター 1250万
- ヒューリック 1108万
- 三菱商事 1041万
- ドリームインキュベータ 973万
- 丸紅 938万
- 住友商事 934万
- 三菱地所 922万
- 三井物産 913万
- シグマクシス 902万
- 三井不動産 878万
- ケネディクス 878万
- 電通 874万
- 野村総合研究所 867万
- サントリー食品 865万
- 国際石油開発帝石(INPEX) 844万
- 日本郵船 835万
- 第一三共 833万
これを業界(業種)別に直すと「4業種+その他」となり、下の表のようになります。
業界(業種)別30歳推定年収順
さて、30歳推定年収と平均年収どちらを見ても高い順で
- M&A
- 商社
- 不動産
- コンサル
- その他
となっています。
ただここで注意が必要なのが、
- M&Aは、証券会社のなかにもM&Aアドバイザリーの職種があるが、それは証券会社全般として見られるため、この表には含まれていないこと
- 外資系企業が含まれていない、特にコンサルはMckやBCGを始めとした外資系企業で強いところが多いが、それらの企業がこの表には含まれていないこと
- 上と同じく、外資系企業が含まれていないので、高給取りとされる外資系銀行、いわゆる外銀が含まれていないこと
に注意しなければなりません。
上記3つが含まれてくると、また順位が変わってくるはずですが、今回は東京にある日系企業の範囲で見ていきたいと思います。
M&A、コンサルの30歳平均年収が高いのは、残業時間が長いから
上記業界別の残業時間を見てみます。
業界別残業時間 via:Vorkers
M&Aは平均99時間残業、あと1時間で100時間だったのに!というのは置いておいて…
コンサルの65時間も長いですね。
商社の38、不動産の33時間はそれほど長く感じない(僕がコンサルだから?)んですが、まあそれでもある程度は残業しているということですね。
こう見ると、M&Aとコンサルの高い年収は、大分残業時間に支えられていると言えます。
M&Aは圧倒的年収を誇っているからいいとして、コンサルはこの中ではやや割りに合わない感が…。
まあただ、コンサルは先ほど言ったように、日本では外資系が幅を利かせている業界でもあるので、外資系コンサルを入れたらもう少し年収が底上げされるので、幾分かはマシになると思うんですが…(その分残業時間も底上げされそうなのは内緒
さっさと稼いで辞めるのがM&Aやコンサル業界
上記の平均年齢と残業時間から、さっさと稼いで辞めていくのがM&Aとコンサル業界と言えるでしょう。
実際、この2業界の残業時間ですと、体力的に歳をとると厳しいのは間違いありません。
それ以外にも、この2業界で働く人たちは、経験を積んだ後に転職したり独立する人が多いです。
それがこの平均年齢の低さと、残業時間の長さに結びつきと考えられます。
若いから残業がたくさんできる→その分給料が貰える→30歳平均年収が上がる→残業が長いから長くは働けず、若いうちに辞める or 転職または独立する、という構造なのが、このM&Aとコンサル業界であり、30歳平均年収が高い原因になっています。
ただこの30歳平均年収は”若いから残業たくさんできてたくさんお金ももらえる”という業界構造に支えられているので、全年齢の平均年収を見ると、特にコンサルはもう少し低い順位となります。
商社と不動産はコスパいい
M&Aとコンサルと比較して、長くまったりと勤めるのが商社と不動産と言えるでしょう。
どちらの業界も平均年齢は40歳を超えてますし、残業時間も30時間台で、比較的穏やかと言えます。
そのため、商社と不動産業界ではM&Aとコンサルのような、若いから残業ができてその分30歳平均年収が上がるが早く辞める、というような構造ではなく、単純にコスパがいい企業・業界と考えられます。
まあ商社は最近では、トレードから事業投資という流れがあるので、今後どうなるかはわかりませんが…。
僕の予想だと、事業投資の話を聞いている感じ、中小企業を対象にするコンサルティングファームに近い働き方をしているみたいなので、商社の平均年齢は下がり、残業時間は長くなる気がします。
まあただ如何せん、事業投資となると、ある意味起業家と似たような働き方になる場合もあるので、残業時間という概念も意味をなさない場合もあると思いますが。
まあとにかく、平均年齢が高く残業時間も短い商社と不動産は、とてもコスパがいいと言えるでしょう。
M&A、コンサルの平均年収が高いのは、一般職があまり含まれていないから
これは30歳平均年収だけでなく、通常の平均年収や残業時間を見るときもなのですが、一般職(バックオフィス)の人のデータも含まれているかもしれない、ということに注意する必要があります。
一般職の人は基本的に総合職の人よりも給料は低いので、データに含まれているとすると、一般職の人が多ければ多いほど平均年収は下がることになります。
ここで先の4業界で考えると、
M&Aやコンサルの企業には一般職の人が少ないので、平均年収が高めに出る傾向があります。
一方、商社や不動産の企業には、ある程度一般職の人がいるので(少なくともM&Aやコンサルよりは)、M&Aやコンサルと比較すると、相対的に低く出る傾向があると言えます。
一般職が含まれていたとして、その人たちをデータから除外すると、商社や不動産はもっと年収が高く出るはずですので、その意味でもやはり商社や不動産はコスパがいいと言えます。
M&A、コンサルの平均年収が高いのは、福利厚生があまり整っていないから
これも30歳平均年収だけでなく、通常の平均年収や残業時間を見るときにも当てはまるのですが、この2つの業界は全体的に福利厚生があまりよろしくありません。
その分が給料に上乗せされていると言っていいです。
一方商社や不動産業界の企業では、寮があったり家賃補助があったりするので、この点でも商社や不動産はコスパがいいと言えます。
番外編:M&Aと商社、どちらがお得?
ちょっと番外編で、M&Aと商社、どっちがお得なのか考えて見たいと思います。
この場合、お得というのは時給はどっちが高いのということ。
と、考えようと思ったら、もうVorkersが時給出してますね笑
それがこちら。
これ、商社のランキングじゃないですからね?
上場企業全体の時給ランキングです。
これだけ商社が強いとは思っていませんでした笑
ただこれ、ちょっと落とし穴があって、M&A業界の企業はデータが圧倒的に少ないんですよ。
なので、正確な時給が出ているかは疑問です。(まあそれを言ったら、vorkersで残業時間も参考にしたので、そちらも怪しいのですが)
M&A業界の企業でデータのあるGCAとM&Aセンターの時給は、Vorkersを見てみると
- GCA:4,523円
- M&Aセンター:4,077円
となっていました。
Vorkersに出ているGCAの年収が、東洋経済オンラインのものよりもやや低く、M&Aセンターの年収はやや高く出ていたので、もしかしたらGCAはもっと時給が高く、M&Aセンターはもっと低くなるかもしれません。
まあそれでも、商社には負けそうです。
それに商社のデータには一般職が結構な数含まれていて、寮があったりする場合が多いので、その点を加味すると更に商社の方がお得感が強いです。
商社強し!
数字に騙されないように
以上、年収の高い企業・業界を見ていきました。
ただ、年収が高いと言っても残業が多かったりするので、ただ年収を見るだけではなく、残業時間、更に言えば本当に残業時間が正しいのかまで考えることが重要です。
例えば上で話したように、商社において事業投資となると、なかなか正確に残業時間を図るのは難しいのではないかということや、野村総合研究所ではSEの職種もあるので、一概にコンサルの年収や残業時間とも言えないことなどもあります。
そのほか、一般職の人もデータに含まれているのか、また含まれている場合どれくらいの人数がいるのか、福利厚生はどうなのかも見る必要があるでしょう。
そのため、就活や転職の際には、一つのサイトの表だけ見て考えるのではなく、様々なサイトを参考にした方がいいです。
表に騙されないという意味で、こちらの記事も読んでおくとリテラシー高まるかもしれません
