最近考えるんですよ。
「何をやるか」より「何をやらないか」を決める方がよっぽど大事なんじゃないかって。
ノーベル物理学賞を受賞した利根川進さんもこのようにおっしゃっています。
僕は学生になるべく研究をやるな、 と言っている。
『何をやるかより、何をやらないかが大切だ』
と言っている。
だってそうでしょう。
一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。
研究のテーマなんてごまんとある。
ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、
本当に大切なことをやるひまがないうちに
一生が終わってしまうんですよ。via:利根川 進
また、ビジネスの世界でも”戦略とは何をやらないかを決めることである”とよく言われます。
確かに、戦略って言葉、戦(いくさ)を略すと書きますもんね。
なるべくやらなくてもいい事は避けた方がいいわけです。
あとで述べますが、現代では特に「何をやらないか」を決めないと、「やった方がいい事」に埋もれてしまいます。
「やった方がいいこと」のなかで「何をやらないか」を決めること。
そして残った「やった方がいいこと」に全力を注ぐのです。
そうしないと、この先”働く”ことすら難しくなりそうなんです。
やった方がいいことはたくさんある
やった方がいいことって沢山あります。
例えば、
- 読書
- 筋トレ
- スポーツ
- 英語学習
- プログラミング
など。
どれもやった方がいいことばかり。
更に言えば、「友達と仲を深めるためにTwitterをやる」と言うのも、見方によれば「やった方がいいこと」になります。
ただ、「やった方がいいこと」は無限にあれど、「時間」は有限です。
下手に「やった方がいいこと」に手を出すと、時間を浪費することになります。
更に、この「やった方がいいこと」にあれこれ手を出す人は、近年加速的に増えていると思います。
その原因はインターネット。
インターネット検索の誕生により「やった方がいいこと」が昔とは比較にならないほど一般人にも知れ渡りました。
昔は「やった方がいいこと」、つまり成功するために何をやればいいかと言うのは、本を買って読んだり、人から聞かないといけなかったわけです。
それがインターネット検索の誕生で、誰でも簡単に「やった方がいいこと」にアクセスできる時代になりました。
そのため、今では多くの人が「やった方がいいこと」に溺れています。
例えば、英語の勉強。
ネットで検索すると、もうあたかも成功するには必須みたいに出てくることが少なくありません。
では英語は勉強した方がいいのか。
やった方がいいですね、いや、本当にやった方がいいでしょうか?
まずこの段階で疑う必要があります。
自分が将来どうなりたいか、英語の勉強は続けられるか。
それを考えないと、結局中途半端になります。
あとで述べますが、この先「中途半端」だと生き残るのは難しいと考えています。
英語だって、別にあと10年くらい経てば、リアルタイムで翻訳できる機械が登場してもおかしくないです。
現に今でもそのような機械が出てきています。(精度はまだまだだと思いますが)
そしたら、英語の勉強はあなたにとって本当に必要でしょうか?
結局、目的や続けられるかを考えないと、インターネットの「やった方がいいこと」の情報の波に飲まれてしまうわけです。
器用貧乏は生き残れない時代に突入
さて先ほど少し触れましたが、これからの時代は「中途半端」ではいよいよ生き残れなくなりそうです。
少なくとも1つは専門性が必要になると思います。
現代ではITにより世界中が繋がり、世界を一つとして観れる時代になりました。
そうした結果どうなったか、どうなるかはあなたも知っての通り。
工場における生産などは賃金の安い国で行われるようになり、日本においてはコンビニの店員や飲食店で出稼ぎ労働者が増えました。
このように、ある意味「誰でもできること」は、どんどん安いものに代替されていきます。
工場で言えば、大量の労働者→機械と少数の労働者→機械と賃金の安い労働者→()
と来ています。
上の()の空欄にはおそらく、(機械)のみが入るのもそう遠くないでしょう。
コンビニ業界でも先日、Amazonがamazon goという、レジ店員のいないコンビニをアメリカでオープンしました。
Amazon GO1号店がついにシアトルにオープン!レジがないAIコンビニの全貌とは
また、世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートは、店内に「商品棚卸しロボット」を導入しました。(西友はウォルマートの子会社です)
ウォルマートの店内に放たれた「商品棚管理ロボット」の実力と、見えてきた「人との協働」という課題
このように、どんどんと人間の仕事は安い労働力や機械に代替されていくわけです。
そしてご存知の通り、最近ではAIの発展もめざましく、ホワイトカラーの仕事さえ奪われ始めます。
今までは「やった方がいいこと」を色々とやって「中途半端」でも、それなりに仕事はありました。
ただ説明した通り、これからは間違いなく「誰でもできる」仕事から駆逐され(※肉体労働等は別)、「誰でもできる」の範囲がAIの発展を中心に広がっていくでしょう。
そうすると僕の予想では、最終的に残る仕事は起業家のようなゼロベースから価値を生み出す仕事になると思います。
まあ最終的には起業家も駆逐されるかもしれませんが、それはまだまだ先の話かと。
まずは段階的に頭脳労働や単純労働が駆逐されていくはずです。
となると、今までのように「やった方がいいこと」をつまみ食いしている時間がそうなくなってきていることは理解いただけるでしょう。
これからは「やらないこと」を決め、残った「やった方がいいこと」にフォーカスを当てて専門性を磨く必要があるんです。
※肉体労働は、今のロボット( AIではなく動くロボットのこと)を見る限り、まだまだ大丈夫そうです。あと、福祉の分野や保育の分野など、大規模な資本を持っている企業が少なく、AIやロボットの初期投資ができないor見合わないような業界では、まだまだ人手が必要でしょう。ただ、もちろんこれは人間じゃなきゃできないからというわけではなく、業界として投資に見合う効果が得られないと考えられるからであり、AIやロボットが十分に安くなれば、これらの業界も危ないと思います。(保育にロボットはどうなのというような議論は重々承知してますが、今回伝えたいのはそこではないので、この話はここまでにさせていただきます)
昔からトップは変人
では、最近になってこの専門性が重要になってきたのでしょうか?
一般人、つまり僕のような特にこれといって突出した能力のない人にとってはそうでしょう。
ただいつの時代も、トップの人たちは何か一つ専門性を持っていたのは間違いありません。
科学者や哲学者はもちろんのこと、この資本主義の元、長く生き残っている企業の社長さんなんかも突出したリーダーシップであったり、先見性があります。
単純に、今まで(昔)はトップの方でなくても生き残れていた、働けていたので、今(これから)と比較して相対的に重要性が低かっただけです。
これからは各分野トップの人や、いくつかの専門性を掛け合わせることのできる人しか、そもそも”働く”ことが出来なくなる時代に突入しそうです。
なぜなら、人が働くよりもロボットに働いてもらった方が企業としてコストを抑えられる上に、環境にも優しいからです。
やらないこと以外に全力投球
これからは働く上で”専門性”が重要になってくることは、上で話した通りです。
そしてその専門性を磨くには、その分野に多くの時間を費やす必要があります。
ただ各々の人間が持っている時間は有限。
持っている時間を無駄にしないためにも、「やること」よりも「やらないこと」を決める必要があります。
AIやロボットが発達してくる今後も働き続けるためには、「やらないこと」を明確にし、「やらないこと」以外に全力投球するしかありません。
僕も”働きたくても働けない”側の人間にならないように、日々専門性を磨こうと思います。
ちなみに、働けない人はどうなるのか、と言う話はベーシックインカムなどにつながっていきますが、その話はまた今度しましょう。
では。