今回もロジックツリーの正しい使い方について説明していきます。
ちなみに前回の記事はこちら。
前回の記事で説明したロジックツリーのポイントは
- 原因と結果を区別し、結果を上位概念に、原因を下位概念に据える
- ロジックツリーの仕様にとらわれず、時にはフローチャートなども用いる柔軟性が必要
という事を説明しました。
今回はロジックツリーの作成に関して、抜け漏れがなく思考し、かつ相手に伝えやすいようなロジックツリー作成のポイントを、3つ例題を用いて説明します。
例題1
今回扱うロジックツリーの例題1つ目です。どこが好ましくない構造になっているか、まずは考えてみてください。
これは架空の企業:フューチャーテック社に所属する3つの部門を表したロジックツリーです。通常企業にはもっとたくさん部門がありますが、今回は簡単の為、この3つの部門しかないと仮定します。
このようなロジックツリーはかなり一般的なもので、ロジックツリーを知らない人でも部門を表す時は自然とこのように記述していることも多いはず。しかし、ただ部門をロジックツリーで書くだけでも注意すべき点はあります。
実際上記のロジックツリーは、あまり好ましくない書き方をしています。どこが好ましくないか分かりますか?
解答例1:時間の順序
理想的な書き方は以下の図となります。
注目すべきは部門の並び順。先ほどは製造部門→営業部門→企画開発部門と左から順に並んでいました。でもこれはおかしい。
なぜなら通常、製品というのはまず最初に企画開発され、それを元に製造、そして販売の流れ。と考えると、この流れに沿って記述するのが好ましく、書くのは左から順に企画開発部門→製造部門→営業部門となります。
このように”時間の順序”を意識してロジックツリーを書く事で、自分だけでなく、このロジックツリーを他の人が見たときに、すんなりと頭に入ってくるようになります。なので、ツリーの横の関係(同じ次元)が時間の順序に従っている場合は、書くときも時間の順序に従って書きましょう。
では次は、時間の順序に従わないパターン2つです。
例題2
先ほどと同じように、まずはどこが好ましくない構造になっているか考えてみてください。
これはちょっと初歩的な簿記の知識が無いと、どこがおかしいか分からないかもしれませんが…、逆に簿記の知識がある人はぜひ分かって欲しいですね。
ちなみにヒントとしては、先ほどと同じく下部3つの順序が好ましく無い順序になっています。ただ、もちろん先ほどの”時間の順序”の構造は今回は当てはまりません。
では、解答例を見ていきます。
解答例2:構造の順序
理想的な書き方は以下となります。簿記の知識がある人は分かりましたでしょうか?笑
そうです、先ほどと同じくツリー下部3つの並び順がおかしいです。ただ今回は”時間の順序”ではありません。原価を抑えるにしろ、販管費を削減するにしろ、売上を伸ばすにしろ、別にどれから始めようが自由ですからね。
では、どういう順序で並べたら良いかというと”構造の順序”。今回の場合は損益計算書、P/Lの構造。営業利益率のロジックツリーの場合はまず損益計算書の構造を思い浮かべたいところ。
これですね。ここで、営業利益に注目。
営業利益=売上高ー売上原価ー販管費
です。
今回の場合、営業利益率のロジックツリーなので、この営業利益を求める式の順序で下部3つを並べると、論理的な構造になります。
そのため「売上を伸ばす」「原価を抑える」「販管費を削減する」の順に並べるのが、営業利益率のロジックツリーの場合はベストです。この並び方で記述した方が、自分で考えるときに考えやすい上、相手にも伝わりやすくなります。
では最後に、”時間”でも”構造”でも無い順序に従ったロジックツリーの例題を見ていきます。
例題3
先ほどと同じように…ではなく、これはさっさと解答例みてください。ほぼ間違いなく直すべきところが分からないと思うので。
こんな感じのロジックツリーは馴染み深いはず。就活のグループディスカッション等で、一度はこんな施策出しをしたことがあるのでは無いでしょうか?
その時は多分、施策の並び順なんて気にしなかったかもしれませんが、本当は気にした方がいいのです。では、解答例を見てみます。
解答例3:優先順位の順序
上記の施策のツリーの理想的な書き方は以下になります。
分かりましたか?
そうです、先ほどと並び順が変わっていないです。どういうことかというと、最後の並び順のポイントは”優先順位”。
今までの”時間”の順序や”構造”の順序は、明らかに正解のある順序でした。しかし、今回は優先順位順。つまり、書き手によって理想的な書き方は変わります。
今回の場合、売上向上のためには「CMを流す」「販売店を増やす」「価格を下げて販売量を増やす」の順に、僕が優先順位が高いと思ったということです。優先順位が高いと思う順に左から列挙したと。
多くの人は特に並び順を意識していない場合、大抵はこの優先順位の並び順に、無意識に並べている事が多い気がします。どうでしょうか?
また、今回は優先順位の例として「売上向上のための施策」を題材にしましたが、これは優先順位じゃなく、二番目に説明した”構造”の順序でも考えられます。売上=店舗数×店舗単価と分解して、そのどちらかを向上させるというようにも考えられます。つまり、課題の切り口によって従うべき並び順は異なるという事です。
ポイントまとめ
今回説明したロジックツリー作成の際の、同じ次元の並び順ポイントをまとめると
- 時間の流れに沿って記述する
- 式や地理など、構造の順序に沿って記述する
- 優先順位の高い順に記述する
です。
以上3つの論理構成、並び順をみてきました。今回のどの並び順にも言えるのは、正しい順序で記述する事で、自分が思考しやすいだけでなく、相手にも納得感を伴って伝えやすいという事。
ロジックツリーを用いる時につい自分の思いついた順に記述してしまう事がありますが、自分の思いついたまま記述すると漏れやダブりが起こりやすい上、伝えるべき相手にも伝わりづらいということになります。そのため、正しい順序でロジックツリーを構成する事が大事です。
※今回の例ではwhatのロジックツリーとhowのロジックツリーが混同していますが、これは分かりやすさを重視したためです。
ロジックツリーについて、総まとめ記事も書いてます。ロジックツリーを正しく作りたい方は、まずこちらを読んでみてください。