こんにちは、戦略コンサルタントのYuです。
この記事では、
- 長時間労働している割りに良いアウトプットを出せている気がしない
- なるべく無駄なく良いアウトプットを出したい
と言った方に向け、
- 効率的に良いアウトプットを出すための知的生産術が学べる本
- その本では何が学べるのか
をご紹介します。
先ず結論から言うと、圧倒的に高い知的生産性を身につける方法が学べる本は「イシューからはじめよ」になります。
この本は私がコンサルになって(正確には内定が決まって)先ず最初に先輩コンサルタントにオススメされた本で、
- 知的生産性の高い人の特徴は?
- 知的生産性を高めるにはどうすれば良いのか?
- 具体的にどのようなプロセスで知的生産を進めれば良いのか?
と言ったことが書かれており、今尚コンサルの仕事を進める際には参考にしています。
そんな本書ですが、具体的にどんなことが学べて、読むとどのように仕事に活かせるようになるのか詳細にご紹介しますので、知的生産性を高めたいと考える、特に若いビジネスマンの方は参考にしてみてください。
タップできる目次
知的生産性の高い人は、別に作業スピードが早いわけではない
先ず、そもそも知的生産性が高いとは何でしょうか?
また、知的生産性が高い人とはどのような人を思い浮かべますでしょうか?
知的生産性が高い人について、本書の冒頭にこのようなヒントが書かれています。
僕がこれまでに見てきた「圧倒的に生産性の高い人」にひとつ共通していることがある。
参照:イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
それは、彼らが「ひとつのことをやるスピードが10倍、20倍と速いわけではない」ということだ。
つまり、知的生産性が高い人は別に作業スピードが特別早いというわけではないということです。
では、知的生産性が高い人は何が優れているのか?
それが本書で解き明かされているわけですが、その前に、本書の(知的)生産性の定義を確認します。
定義をしておかないと、そもそも何を高めようとするのかボヤけてしまいますからね。
知的生産性が高いとはどう言うことか?
(知的)生産性ですが、本書では非常にシンプルに、以下のように定義されています
生産性=アウトプット÷インプット=成果÷(投下した労力・時間)
参照:イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
つまり、生産性を高めるということは、なるべく少ない労力・時間で大きな成果を出すということに他ならないということです。
ここで、少ない労力・時間の意味は分かりやすいと思います。
一方、成果の方はまだ若干抽象的で分かりづらいかと。
物づくりの場合であれば、出来上がったそのものが成果(厳密にはそれが売れないと成果ではないということも言えますが)ということになるため非常に明確で分かりやすいです。
かたや知的生産の場合、目に見えるものが必ずできる訳でもなく、知的生産の結果として資料を作ったとしても、それが素晴らしい成果物なのかそうでないのかは結構定量化するのが難しい。
しかし、そこ(知的生産の成果)を定義できないと、そもそも知的生産性を高めると言っても何を高めて良いかわからなくなってしまうため、ここは正確に抑えておく必要があります。
本書では、この知的生産の成果を以下2軸で分解し、その両方が非常に高いものを「バリューのある仕事」、つまりこれをこなすことで高い成果を出せると定義しています。
- イシュー度=自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ
- 解の質=そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い
この2つの意味合いは非常に多分な要素を含んでいるため、是非とも本書で理解していただきたいのですが、詰まるところ本書で学べるのは、この「イシュー度」「解の質」を如何に効率的に高められるのか、ということに尽きると思います。
また、長期的にどのように知的生産性を高めれば良いのか、についても本書で触れられており、「解の質」よりも「イシュー度」を高めることに注力すべき、と述べられています。
このことについて、少し詳しく説明します。
知的生産性を高めるには、量より質が大事
知的生産性を高めるには、先ず「解の質」よりも「イシュー度」を高めるべき、と言うことが本書で述べられているところになりますが、これはつまり、大量の問題をこなして成長する量的作戦ではなく、そもそも解く問題を見極める質的作戦を取れ、と言うことに他ならないと理解できます。
その理由について、本書では以下のように述べられており、知的生産性を高める上でこのアプローチを取らなければならない非常に強力な理由となっています。
世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・県球場で本当に取り組む必要のある問題ではない。
参照:イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。
現実の社会では問題っぽいものが沢山あるため、全部の問題に取り組んでいたら時間がいくらあっても足りないと言うことです。
その為、問題の中でも、本当に今解くべきイシューに絞って取り組もう、と言うのが本書の主張であり、これが大量の問題をこなしていくアプローチはダメで、そもそも解く問題を見極めることが大事であることの最大の理由となります。
もちろん、現実では問題を上司から与えられてそれを解決していく人が大半と思いますが、ここでもこの考え方は役立ちます。
上司から仕事を与えられる場合、最初からある程度問題は絞られている一方、やはりそれでもまだまだ細分化されきっていないことが多いからです。
例えば、何か調べごとをお願いされる際、「〜がどうなっているか調べておいて」と依頼されることもあるかと思いますが、これでは「〜どうなっているか」の部分で多分に意図が考えられてしまう為、本書で言うイシューにはなっていません。
もっと細かく、Yew/Noで答えられる、本質的な問い=イシューにする必要があり、そこまで分解してから解を磨き込むと高い成果が出せるはずです。
そう言った、問題からイシューを見つけるプロセスについても本書で章を割いて述べられている為、上司から仕事を与えられる立場(私もそうです)であっても活かせる内容となっています。
知的生産性を高めるためには、5つのプロセスを順序正しく遂行することが大事
さて、ここまでは高い知的生産性とは何か?どうしたら高められるか?と言った問いに対する概略をお伝えしましたが、実際にどのように知的生産をすれば良いのかと言ったプロセスを最後にお伝えします。
実際に知的生産をする上では、以下のプロセスで正しく思考・動くことで、効率的に成果を出すことができるようになります。
- イシュードリブン:「解く」前に「見極める」
- 仮説ドリブン①:イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
- 仮説ドリブン②:ストーリーを絵コンテにする
- アウトプットドリブン:実際の分析を進める
- メッセージドリブン:「伝えるもの」をまとめる
この1つ1つが本書では章となっています。
この記事では1.イシュードリブンと、2.仮説ドリブン①の前半の一部を私なりの解釈でお伝えしました。
3章以降では、思考だけでなく資料作成の進め方等についても書かれており、最後まで読めば、問題を見極めてからアウトプットを出すまでの知的生産の全容が理解できるようになっています。
因みに、私が今まで出会った優秀なコンサルタントは、もれなくこの順序で仕事されており、経験則からしてもこの順序は限りなく知的生産術の正解に近いんだろうなと思っています。
ただし、一点お伝えしておくと、著者がマッキンゼー出身の方であり、コンサルとしての働き方をある程度意識されて本書が書かれていると思う為、コンサルでない方が実際に自分の仕事に活かす際には、本書の内容を咀嚼してカスタマイズする必要はあると思います。
とはいえ、知的生産術の本質的な部分はどんな仕事にも共通と思うので、間違いなく自分の仕事に活かせる内容になっているはずです。
まとめ:本書は、効率的に働き良いアウトプットを出したい、特に若いビジネスマンの必読書である
さて、ここまでイシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」と言う本を基に、
- 知的生産とは何か?
- どうやって高めていけば良いのか?
- 実際にどのようなプロセスで進めれば良いのか?
と言ったことをご説明しました。
私は知的生産を生業とするコンサルの端くれですが、実際に本書に書かれている内容・プロセスで仕事するよう意識していますし、私の周りの優秀な方は、須く本書に書いてあるように仕事して効率的に素晴らしいアウトプットを出しています。
そして、そう言った優秀な方は特別作業スピードが早いわけではなく、必要な問題を見極めてその問題に集中しているために高い知的生産性が出せている、と言うのがポイントであり、その知的生産術の高め方・進め方が本書で学べる内容となっていますので、是非読んでみてください。
そして読んだら、後は本書の内容を実践するのみです。
特に若いビジネスマンの方は、本書の内容を学習し実践することで指数関数的に成長できるはずなので、若い今が知的生産術を身につける絶好のチャンスです。
「僕は今、自分にできる限りの深いレベルまで、知的生産におけるシンプルな本質を伝えた。後は、あなたが自分で経験する以外の方法はないはずだ」
参照:イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」