「ロジックツリー徹底解説」例題で学ぶロジカルシンキング

ロジカルシンキングの中でも、代表の一つと言って良い「ロジックツリー」。昔はコンサルタントの十八番のツールでしたがそんなのは今も昔。今や就活生でもテクニックの一つとして使われるほど広く普及しています。

そんなロジックツリーですが、正しく使えている人は意外と多くないです。実際僕の周りのコンサルタントでも、「その使い方おかしくない?」と言うときがあります。逆に言えば、正しくロジックツリーを使えれば、ビジネスパーソンにとって周りと差別化できる大きな武器となります。

今回は、様々なロジカルシンキング書を何度も読み、実務でもロジックツリーを使っている私、TAKAHIROが気合いを入れてロジックツリーの作成方法全般について書きました。気合いを入れすぎて、「約12,000文字+図をふんだんに使った超大作」となっています。ですので、軽くロジックツリーについて知りたいと言う人だけでなく、本格的にロジックツリーについて学びたいと言う人にはうってつけの記事になっています。

この記事に書いてある事が使えるようになれば、かなり論理的に美しく、実務で使えるロジックツリーが作成できるようになっているはずです。

記事構成としては、

  • 「ロジックツリーとは?」「ロジックツリーのメリット」「ロジックツリーはどんな時に使うのか?」の3つが主にロジックツリーの概要について述べているパート
  • それに続く、「3種類のロジックツリー」「ロジックツリー作成のポイント」の2つが、実際にロジックツリーを作る際に役立つ、実践的なパート

となっています。

理解どや目的に応じて読み分けてください。

ロジックツリーとは?

<ロジックツリー>とは、問題の原因を深掘りしたり、解決策を具体化するときに、限られた時間の中で広がりと深さを追求するのに役立つ技術である。

via:問題解決プロフェッショナル

この文が非常に的を得ていると思ったので引用しました。

問題の原因を深掘りして、解決策を具体化するツールが「ロジックツリー」と言う事です。言うなれば、「問題解決のツール」です。

ちなみにロジックツリーとは3種類あり

  • 原因(問題)特定するためのWhyのロジックツリー
  • 問題解決のためのHowのロジックツリー
  • 要素分解のためのWhatのロジックツリー

があります。Whyのロジックツリーが「問題の原因を深掘りしたり〜」と言うところに当てはまり、Howのロジックツリーが「解決策を具体化するときに〜」に当てはまります。

つまり、Whyのロジックツリーで問題点を特定して、その問題点に対して、Howのロジックツリーで解決策を具体化すると言うのが問題解決、ロジックツリーの使い方の定石となります。

3つ目のWhatのロジックツリーは、要素分解、つまり「粗利益」を「売上」と「原価」に分解するような時に使います。厳密にはロジックツリーと呼ばないのですが、ネットではロジックツリーとして扱われることが多いので、Whatもロジックツリーとして紹介します。

さて、ロジックツリーの概要が分かったところで、そもそもなぜロジックツリーが重要なツールなのか?こんなツール使わなくても頭で考えればいいんじゃないの?と言う疑問に答えていきます。

ロジックツリーのメリットは?

ロジックツリーがなぜこんなにビジネスパーソンに使われているのか?、それは以下4点のメリットがあるからです。

  1. モレやダブりを未然に防げる
  2. 原因・解決策を分析可能・実行可能なレベルまで具体化できる
  3. 各原因や行動の因果関係を把握できる
  4. これら全てを短時間で達成できる

これらのメリットがとても大きい為、ロジックツリーは重宝されるのです。これらのメリットを文字で見ただけではややイメージしづらいと思うので、具体例を交えて補足します。

モレやダブりを未然に防げる

日常生活において、「最近イヤホン買ったけど、もっといいのあったのね!」「同じの買ってきちゃった!」と言ったことはさして問題になりませんが、ビジネスにおいてはこのようなモレやダブりが、致命傷になることが得てしてあります。

例えば、既存の自社の製品をもっと多くの人に届けると言ったときに、どの層を狙うのか定めると思います。その際に「学生」「会社員」「専業主婦」と3つ候補があがりました…。

と、ちょっと待ってください。世の中には「自営業」や「生徒」、「児童」など他にも職業の分類はあります。これらの分類全てを挙げないと、どの層に一番効果的なのか考えてもモレが発生します。会社員をターゲットにしたけど、実は自営業の人に対しての方が効果があったなんて、施策を打ってからでは遅いですからね。ロジックツリーを使う事で、このようなモレを未然に防ぐことができます。

では今度は「0歳〜10代」「20代〜30代」「40代以上」「学生」で分類しよう!

これもちょっと待ったです。なぜなら19歳の学生も22歳の学生も世の中にはいます。つまりダブりが発生しています。これではマーケティング戦略を打つときに非効率ですね。「0歳〜10代」「20代〜30代」「40代以上」「学生」担当の人がそれぞれいたとして、「0歳〜10代」「20代〜30代」「学生」の人たちの仕事が、一部被ってしまうことになるわけですから。

このようなモレによる「的外れ」と、ダブりによる「非効率」をロジックツリーを使う事で未然に防ぐことができます。因みに、これらの概念は「MECE」と言って、非常にロジックツリーと相性のいい概念になっていますので、ロジックツリーと同時に身につけたい考え方です。詳しくはこちらの記事を参考にして見てください。

では次のメリットを見ていきます。

原因・解決策を分析可能・実行可能なレベルまで具体化できる

2つ目のメリットは、原因や解決策を、分析可能・実行可能なレベルまで具体化できることです。物事の原因を特定したり、解決策を策定した際、その原因や解決策が具体的でなければ、次のアクションに結びつきません。

例えば、「社員のモチベーションが低い」と言う問題があったとするがあったとします。この段階で施策を打とうとすると、「社員のモチベーションをあげよ」と言った、どのように実行して良いかわからない施策になります。

そこから一つ掘り下げて、「都市部担当以外の社員のもモチベーションが低い」と言うことがわかった。しかしこれでもまだ、施策を打とうとすると「都市部担当以外の社員のもチーベーションを上げよと」なんとも実行しづらいものに。

もう一つ掘り下げると、どうやら「評価制度上インセンティブが相対的に小さくなっている」事がわかった。つまり、都市部以外の社員よりも相対的にインセンティブが小さくなっているようだ。すると、この段階までくると施策は「都市部担当以外の社員に対するインセンティブを向上させる」と段々具体的になってきた。

そこでもう一つ掘り下げると「都市部以外は新規開拓が難しい」、そして新規開拓が評価制度上重要だから、都市部以外は評価されづらい仕組みとなっていたわけです。ここまでくれば施策は「都市部担当以外の社員の新規開拓1件あたりインセンティブを向上させよ」かなり具体的な施策まで打つ事ができるようになります。

もちろん、本来のビジネスであったらもっと掘り下げますが、このように掘り下げる事で、分析・実行可能なレベルまで深掘りできるできるのが、ロジックツリーの大きなメリットの一つです。

次に上げるメリットは、この深掘りをする上で論理構造を把握できると言う事。

各原因や行動の因果関係を把握できる

ロジックツリーで深掘りをしていく事で、原因と結果の因果関係を把握できます。それにより、正しい論理で意思決定確認する事ができる。このメリットは主にWhyとHowのロジックツリーに当てはまります。

例えば、行動ではなくWhatのロジックツリーなら、ロジックツリーは非常に単純明快なものになります。下図参照。

左図を見ればわかるのですが、「いちご」や「メロン」、「みかん」をまとめて「果物」と言いますね。そしてこの関係は普遍の真理であり、どんな状況下においてもこのいちごと果物の関係は維持されます。つまり、常にロジックツリーに書くと果物ーいちご・メロン・みかんとなるわけです。

一方、WhyやHowのロジックツリーはどうでしょうか?下のWhyのロジックツリーを見て見てください。

一見何もおかしなところがないように思えます。しかし、これは論理的におかしい構造です。論理的に正しい構造は下図のようになります。

なぜこのような構造が論理的に正しいかというと、「メンタルを壊す」と言うのは「自由が利かない」「先行きが不透明」であることの結果である、と見た方が自然だからです。結果と理由を同じ概念レベルに並べるのは不自然で、通常は結果の下位概念として原因を置きます。もちろん、これらの結果・原因というのはあくまでもある状況下においてのみ成り立つもので、使用する状況によっては「メンタルを壊す」というのは結果にも原因にもなります。

例えば、今回は「メンタルを壊す」は結果ですが、「入院する」という事象とセットの場合は、「メンタルを壊す」よって「入院する」という文脈になる可能性が高いので、「メンタルを壊す」は原因になります。

このように原因や行動の結果というのは、状況に応じて原因にも結果にもなり得ます。故に、毎回その行動が原因や結果なのかを確認する必要があるのですが、ロジックツリーを使えばこれが非常にやりやすい。少し勉強すれば、誰でも正しい論理構造を作れるようになるわけです。

正しい論理構造が作れるということは、先ほど行った「モレやダブり」の無い施策が打てるだけでなく、人に伝える時にも、相手に伝わりやすくなりますので、大きなメリットとなります。

常にロジックツリーについてある程度知っていて、もっと詳しく正しいロジックツリーの使い方を知りたい方は、以下の記事を参考にして見てください。

上の記事や、下の記事の「解答例とポイント2:次元を揃える」で詳しく書いてます。

次は最後のメリット、「上記の3つのメリット全てが短時間で達成できる」について説明します。

これら全てを短時間で達成できる

上記では

  1. モレやダブりを未然に防げる
  2. 原因・解決策を分析可能・実行可能なレベルまで具体化できる
  3. 各原因や行動の因果関係を把握できる

の3つのメリットを説明しました。で、これらって別にロジックツリーを使わずとも、じっくり頭を使って考えればできないこともないんですね。ただ、ロジックツリーを使うと、これら3つを短時間で達成できるんです。

ビジネスにおいては、ヒト・モノ・カネ・ジカンと言うように、「時間」は大事な経営資源の一つ。中高や大学の勉強と違って、じっくり考える時間というのはないですよね。ましてや昨今はインターネットが発達し、※メディア効果の重要性が語られています。つまり、昔よりもスピードが重視されてきているわけです。

そんなビジネス状況下では、ベストな戦略を1発ドカンと打つよりも、ベターな戦略をガンガン打って改善していく方が、結果的に勝つと言われています。そのため、短時間でそこそこの施策を撃ち出すのがカギになってくる。そこでロジックツリーです。

わかりやすく考えると、例えばダイエットする時に、ロジックツリーをつかわずにただ延々と考えたり、インターネットで調べても非効率と言わざるを得ません。最初からツリーを作って、自分にとって効果的・継続できそうなものを選んで実践した方がはるかに効率がいいのは想像に難く無いと思います。

このようなことから、「短時間で分析・実行可能レベルまで深掘りできる」というのはロジックツリーの大きなメリットとなります。

さて、ここまでお疲れ様でした…と言いたいのですが、次はロジックツリーって実際どんなときに使うのかという疑問に答えていきたいと思います。

ロジックツリーはどんな時に使うのか?本当に仕事で使えるの?

ロジックツリーはどんなときに使うのか?ここまで読んできた人はもうだいぶわかっていると思いますが、ロジックツリーは原因究明・施策策定の初期段階で主に使います。

ちなみに、本当にこれ使うのって疑っているあなた。本当にこれ仕事で使います笑。むしろコンサルタントはロジックツリー使いまくりです。ことあるごとに使います。ただ、先ほどメリットで述べたように、ロジックツリーのメリットは短時間で原因特定・解決策を策定できることが強みなので、じっくり考えてロジックツリーを完成させるというよりも、パパッと原因特定・解決策策定しては実行して、また途中に使って実行しての繰り返しです。

このように、基本的には仕事のありとあらゆる場面で使えます。正しくロジックツリーを使えるようになったら、今までより早く仕事を終わらせられるようになること間違いなしです。

3種類のロジックツリーの使い方

ではロジックツリーの具体例を用いて、使い方を説明していきます。

上でも説明した通り、ロジックツリーは

  • Why(原因特定)のロジックツリー
  • How(問題解決)のロジックツリー
  • What(要素分解)のロジックツリー

の主に3つの種類があります。この中で、Whatのロジックツリーは厳密にはロジックツリーではありません。ロジックツリーとは名前の通り、ロジック(論理)のツリーであり、Whatで出てくる答え(主に名詞)は論理ではないのでロジックツリーではありません。ここら辺について詳しくは後ほど説明します。

とりあえず、まずは原因特定→問題解決の流れで役立つWhyのロジックツリーについて説明します。

Why(原因特定)のロジックツリー(モテない)

Why(原因特定)のロジックツリー。その名の通り、何か問題があった時に、その真の原因を特定するために使うロジックツリーです。一つ例として、とあるIT企業の「PCが売れないのはなぜか?」と言う問題を、Whyのロジックツリーで簡単に深掘りしてしてみました。

「PCが売れないのはなぜか?」と言う疑問から、4つの原因に分解して、そこから「商品力が低い」に目星をつけ、もう一段階掘り、「ハードが悪い」「ソフトが悪い」まで原因を特定しました。もちろん、本来ならここからさらに「ハードのどこが悪いのか」「ソフトのどこが悪いのか」と掘り下げていきます。(掘り下げすぎると画像が小さくなって見えなくなるので省略)

掘り下げれば掘り下げるほど、問題点が具体的になるので、解決策は立てやすくなります。そうです。このWhyのロジックツリーで問題点を掘り下げて、次に紹介するHowのロジックツリーで解決策を策定するのです。つまり、問題解決に際して、Why・Howのロジックツリーはどちらも欠かせないものなのです。言うなれば車の両輪です。

では次はそのもう一つの欠かせないロジックツリーである、Howのロジックツリーについて説明します。

How(問題解決)のロジックツリー(ダイエット)

How(問題解決)のロジックツリー。名前の通り、問題解決のための施策を出すために使うロジックツリーです。問題点が明らかな場合は、その問題点を起点にしてHowのロジックツリーを使い始めますが、具体的な問題点が明らかでない場合は、まずWhyのロジックツリーで具体的な問題点まで掘り下げてから、その問題点を起点にしてHowのロジックツリーを使います。

下図は、ダイエットをする場合、どのような方法に取り組めばいいか考えるために一通り施策をだすために作ったHowのロジックツリーです。(もちろん実際は、全てにおいてもっと深掘りする必要があります)

痩せるためには、「消費カロリーを増やす」「摂取カロリーを減らす」「脂肪を除去する」のどれかがまず考えられます。そこで消費カロリーを増やすに関してもう一段掘ると、主に「運動する」か「基礎代謝を上げる」の2つがパッと思いつきます。

このようにして、それぞれについて思いついた施策を書いていって、ロジックツリーを作ります。ただもちろん、むやみやたらに思いついたのを書いていっても、なかなかいいロジックツリーはできません。

そこで、この後ロジックツリー作成のポイントを3つ説明しようと思うのですが、その前に、補足としてWhatのロジックツリーについて説明します。

What(要素分解)のロジックツリー

先ほど上の方でも言いましたが、What(要素分解)のロジックツリーは、厳密にはロジックツリーとは言わないのですが、形の上ではWhy、Howのロジックツリーと同じ形をとるので、3つ目のロジックツリーとして紹介します。

Whatのロジックツリーとは、ある物事の構造をツリーで表現したもの。割とあなたとも馴染み深いであろう下図のようなものです。

これは架空の企業「フューチャーテック社」にある3つの部門を表したツリーになります。このように、ある物事の構造を表すのがWhatのロジックツリーです。

先ほどのWhy、Howのロジックツリーと違うところは、要素が「考えや行動」ではなく、完全に「名詞」であることです。上図の部門も、「製造部門」「営業部門」「企画開発部門」と名詞であることがみて取れると思います。

Whatのロジックツリーと使う際の注意点として、HowやWhyのロジックツリーと混同しないようにする事が挙げられます。名詞と言う特徴上、非常に書き手としては書きやすいので、ついつい要素をWhat(名詞)で書いてしまうことがあるのですが、これには注意しなくてはなりません。どう言うことかと言うと、下図を見てください。

「営業利益率を上げる」と言う、本来はHowのロジックツリーなはずなのですが、下3つの構成要素が「売上」「原価」「販管費」と言う、本来はWhatのロジックツリーで使う「名詞」で構成されたツリーになっています。確かに、上位概念で「営業利益率を上げる」と書いてあるので、下の概念で「売上」「原価」「販売費」と書いても、読み手も「ああーなるほど、売上を上げる、原価を下げる、販管費を下げるのことを言っているんだな」と言うのは理解できると思います。

ただこのツリーを見ただけでは、「営業利益=売上ー原価ー販管費」と言うのをいちいち頭で思い浮かべなければならず、自分にも相手にも不親切なロジックツリーと言わざるを得ません。いちいち「売上”を上げる”」「原価”を下げる”」「販管費を”下げる”」と頭の中で補足しなければならないので。

上記のようにWhatのロジックツリーは非常に使いやすい反面、他のツリーと混同しやすいので注意しましょう。

では次に、これら3つのロジックツリーを作成する際のポイントを説明します。重要と思われる順に説明しますので、まずは上のポイントから押さえてください。

ロジックツリー作成のポイント

ここまで読み進めたあなたは、もう既にある程度ロジックツリーとはなんぞやと言う部分についてわかってきたと思います。ただ、ロジックツリーとは何かと言うことが分かるのと、実際自分がロジックツリーを使いこなせるかはまた別問題。

そこで、これからロジックツリー作成のポイントを3つ紹介します。これらのポイントは、コンサルタントでも意識して使うものです。身につければ、正しいロジックツリーを作る際の大きな助けとなるので、ぜひしっかりポイントを押さえて見てください。

ロジックツリー作成のポイント1:MECEに分解する

この記事を見ているあなたなら「MECE」と言う言葉は聞いたことがあると思います。復習しておくと、MECEとは「モレなくダブりなく」と言うこと。ちなみに発音は「ミースィー」「ミーシー」と発音します。

MECEについては下の記事に詳しく書いてあるので、そちらを参考にして欲しいのです…が、ここでは一応下の記事の復習がてら、簡単に説明しておきます。

MECEは、「モレなしダブりなし」「モレありダブりなし」「モレなしダブりあり」「モレありダブりあり」の4つ「図を使って説明する方が早いので、下図をみてください。

これは人間を男性と女性に分けた状態です。ありとあらゆる人間はもちろん、男性か女性であり(モレなく)、また男性と女性同時に成り立つことはない(ダブりなく)ので、完全にMECEになっています。これがモレなくダブりなくです。この状態をコンサルタントをはじめとするビジネスパーソンは「ミーシーである」と言います。

次に「モレありダブりなし」とは下図の状態。

これは人を「学生」「会社員」「専業主婦」に分けた状態です。「生徒」や「フリーランス」などモレはありますが、「学生」「会社員」「専業主婦」は同時には成り立たないのでダブりはありませんね

次に「モレなしダブりあり」とは下図の状態。

人間生まれた時はもちろん0歳なので、「0歳〜10代」「20代〜30代」「40代以上」で全ての人をどちらかに分類することができます。つまりモレはないです。

しかし、「学生」に関しては、19歳の学生も22歳の学生もいるので「0歳〜10代」「20代〜30代」どちらにも学生はいます。つまりダブりありです。

最後に「モレありダブりあり」と言う最悪の状態は下図。

「学生」の中に「アルバイト」をしている人はいますし、「主婦」の中にも「アルバイトをしている人はいます。つまりダブりあり。それに、職業で分類しているので、「会社員」や「自営業」と言ったものが抜けています。つまりモレありです。

さて、これら4つの状態を復習したところで、再びロジックツリーの話に戻ります。ロジックツリーを作成するにあたっても、このMECEを意識することで、とても完成度の高いロジックツリーを作成することができます。どう言うことかと言うと、先ほどのWhy、Howロジックツリーをみてください。

深掘りした各階層は、MECEな状態を意識して作成されています。

ポイントは、各階層でそれぞれMECEを意識する事。あくまで各階層がMECEであれば良いので、他の階層と照らし合わせる必要はありません。逆に言えば、各階層は”なるべく”MECEになるようにしなければなりません。各階層がMECEでないと、ロジックツリーが完成しても「モレやダブり」が発生してしまいます。

また、上で”なるべく”MECEと表現したのには2つの理由があります。

  • 完璧にこだわると時間がかかってしまう
  • ”MECE感”があれば十分

MECEにしようとこだわりすぎると時間がかかってしまい、せっかくロジックツリーでパパッと原因特定・問題解決しようとしているのに、その時短効果が台無しです。あくまでも、MECEな感じ”MECE感”があれば十分です。実際、コンサルタントもこのMECE感と言う言葉を使い、MECE感を得られれば良いとしています。

では、MECEな感じを作成するにはどうすれば良いのか、ポイントは2つあります。

MECEに分解するポイント1:フレームワークを使う

例えば、Whyのロジックツリーの「商品力が低い」・・・「宣伝が適正でない」といった4つはほぼMECEと言えます。なぜなら、これはビジネスフレームワークの4Pを使っているから。4Pとは(Product,Price,Place,Plomotion)の事ですね。このように、MECEなロジックツリーを作成する際に、既存のビジネスフレームワークを使用するのは一つの手です。先人達がMECE感のあるフレームワークを作ってくれているわけですから、使わない手はありません。

また、ビジネスフレームワークではなく、その他のフレームワークもコンサルタントはよく使います。Whyのロジックツリーではハード⇄ソフトというフレームワークを使用していますが、その他にも

  • イン⇄アウト
  • ストック⇄フロー
  • 心・技・体

など世の中にはたくさんのフレームワークで溢れています。このようなフレームワークを駆使する事で、割と簡単にMECEなロジックツリーを作ることができます。もちろん、新しい発想はこのような既存の概念から飛躍したところに生まれやすいですが、まずは既存のものを使って基礎を押さえましょう。

MECEに分解するポイント2:因数分解を使う

MECEなロジックツリーを作成する際のもう一つのポイントは「因数分解」を使うことです。数学が苦手な人は聞きたくないであろう言葉かも知れませんが笑、別に計算するわけではないので安心してください。

要は、「一つの言葉を複数の言葉の掛け算に直しましょう」と言うこと。下図は「売上高」を徐々に因数分解していった図になります。

売上高は、各店舗の売り上げと店舗数のかけ算で表すことができる。各店舗の売り上げは、商品の平均単価と平均売り上げ個数のかけ算で表す事ができる。このように一つの要素をどんどん分解する事ができます。もちろん、一つの言葉を分解しているだけですから、それぞれの要素はMECEとなります。

売上高の分解を、Howのロジックツリーに表すと以下となります。

縦に並んでいる要素を掛け算すると一つ前の要素になると言う構造です。これなら間違いなくMECEであるので、因数分解できる要素があれば、まずは因数分解を試してみることをお勧めします。

ただ、因数分解する際、切り口はよく考える必要があります。切り口によって得られる要素が変わってくるので、目的に応じて切り口は使い分けましょう。

MECEの切り口の話などさらに詳しく学びたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

この記事よりもさらに詳しMECEについて解説しています。では、次のポイントに移ります。

ロジックツリー作成のポイント2:原因と結果を区別する

ロジックツリーを作成する際、原因と結果は区別する必要があります。

先ほど上の方のロジックツリーのメリット、「原因と結果の因果関係を把握できる」でも少し説明しましたが、ロジックツリーの構造と言うのは、常に上位概念を生み出すために原因がある、またその原因を生み出すために原因がある・・・。と言うような繰り返しの構造となっています。

繰り返し構造を理解するために、再びWhyのロジックツリーをみてみます。

常に右側が原因、左側が結果となっている事がわかると思います。

  • ハードが悪いから商品力が低い
  • 商品力が低いからPCが売れない

これが逆だとおかしなことになりますね。PCが売れないから商品力が低いだと、「あれ?逆じゃない?」って気づくはずです。このように考えながら随時因果関係をチェックする事で、完成度の高いロジックツリーを作る事ができます。

同じようにHowのロジックツリーも見てみます。

Howのツリーでも、右をすることにより、左が生み出されると言う構造になっているのがわかると思います。

  • 運動するから消費カロリーが増える→消費カロリーを増やす”ために”運動する
  • 消費カロリーが増えるから痩せる→痩せる”ために”消費カロリーを増やす

”ために”と言う言葉が成り立つか成り立たないかが、論理構造をチェックするための一つの指針となります。

このように、Why・Howどちらのロジックツリーを作るにしても、原因と結果は区別する必要があります。これについて更に詳しく書いた記事がありますので、こちらを参考にしてみてください。

原因と結果の区別は意外と難しいです。上記事では例題を解いてもらって解説というスタイルをとっているので、非常に理解しやすいのではないかと思います。

では最後のポイントを説明します。

ロジックツリー作成のポイント3:要素の順序を意識する

最後のポイントは「要素の順序を意識する」と言うこと。

要素の順序を意識するとは、つまり要素をどの順番で書けばいいか意識すると言うことです。再びHowのロジックツリーをみてみます。(何度目笑)

このツリーの2階層目、「消費カロリーを増やす」「摂取カロリーを控える」「脂肪を除去する」と言う3つの要素、実はこの並び順には意味があるのです。

実は先ほどMECEで説明した、ストック・フローの関係がこの3つの要素にあり、上2つがフロー、下1つがストックに対するアプローチとなっています。

これが、「消費カロリーを増やす」「脂肪を除去する」「摂取カロリーを控える」の順番になると、「フロー」「ストック」「フロー」に対するアプローチの構成となり、非常にわかりにくいものになります。そのため、自分はもちろん、相手に説明する場合に使うロジックツリーの場合はなおさら、この要素の順序が大事になってきます。

これに関しても、例題を使って身につけれられるように記事を書いているので、こちらの記事で要素の順序の練習をしてみてください。

正しくロジックツリーを使いこなす

以上、特大ボリュームでロジックツリーとは?と言う基礎的な部分から、正しくロジックツリーを作る方法まで説明しました。

ロジックツリーを正しく作れるようになる事は間違いなく、あなたのビジネススキルの中でも大きな武器になります。問題を特定し、問題解決をする。これはどのビジネスパーソンにも必須のスキル。早く身につければ身につけるだけ良いです。

もし、ロジックツリーやそのほかのロジカルシンキングを本格的にみにつけようと思ったのなら、ぜひ僕が書いた他の記事も参考にしてみてください。「例題で学ぶロジカルシンキング・トレーニング」シリーズは、その名の通り、例題を解いてもらって解説すると言う、参考書のような記事となっています。問題を楽しく解いていくだけで、あなたのロジカルシンキング力が高まるはずです。

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