「因数分解徹底解説」例題で学ぶロジカルシンキング・トレーニング

こんにちは、外資系コンサルタントのTAKAHIROです。

今回は、ロジカルシンキングでよく使われる「因数分解」について解説します。

  • 課題が漠然としてて何に手をつけて良いかわからない
  • 施策を打つ時に、どんな要素が絡んでくるかいまいちよくわからない
  • 関連する要素が多くて、どこから手をつけ良いかわからない

といった悩みに答えてくれるのが「因数分解」です。この記事では例題を用いて1つずつポイントを説明するという、参考書のような形式で因数分解について学べるようになっています。

ではまずは、因数分解とは?という基礎的な部分について説明します。

因数分解とは?

因数分解とは、一言で言えば「要素分解の技術」です。つまり、一つの言葉をいくつかの言葉の組み合わせにする技術とも言えます。

どういうことかというと下図。

最初は「売上高」という一言だったのですが、それを分解して「各店舗売上」×「店舗数」、更には「平均売上単価」×「平均売上個数」×「店舗数」まで分解しています。

このように最初は一言で表せるものを、2つ3つといくつかの言葉の組み合わせで表せるようにすることを「因数分解」と言います。間違っても中学生の頃に習った数学の因数分解とは異なるので注意してください笑

さて、「因数分解ってこんなものか」と少しわかってきたところで、因数分解を使う際のポイント4つを紹介していきます。

因数分解する際のポイント

因数分解をする際のポイントには主に4つあります。

  • 四則演算を使う
  • 問題を具体的に定義する
  • MECEを意識する
  • 切り口を考える

この4つのポイントを押さえる事で、因数分解をビジネスに役立てることができるはずです。

逆に言えば、ポイントを押さえず闇雲に因数分解を用いても、あまりビジネスに役立てることができないので、しっかりと4つのポイントを押さえておきたいところです。

ポイント1:掛け算を使う

まず一つ目のポイントは「掛け算を使う」です。そもそも因数分解とは「式を積(掛け算)の形にする」ことを表すので、掛け算を使うことが因数分解の鉄則となります。

例えば、先ほどの「売上」の因数分解では掛け算が使われていました。

このように、基本的に因数分解は掛け算を使います。各要素の逆数をとれば割り算にもなるので(例えば×3は÷1/3である)、割り算も時には使います。

因数分解、つまり掛け算や割り算のメリットは、分解した要素それぞれがMECEになりやすいことです。例えば上記の「各店舗売上」と「店舗数」は互いにMECEになっています。このように、掛け算や割り算だとMECEに分解しやすいのです。

もちろん、この後に「各店舗」を分解して

  • 各店舗=北海道店舗+青森店舗+・・・沖縄店舗

というような足し算に分解したりもしますが、それは十分に各要素を掛け算や割り算で因数分解してからになります。

ポイント2:問題を具体的に定義する

因数分解する際のポイント2つ目は「問題を具体的に定義する」です。

そもそも、ビジネスにおける因数分解とは「問題を具体的に定義する」ことそのものだったりします。

どういうことかというと、例えば「運を良くする」ということを考える時、そもそも「運の良さ」ってなんだ?って考えると思います。そうして運の良さを因数分解していくと、運の良さを定義したことになります。

運の良さという曖昧なものを、僕は幸運を掴み取る回数と定義しました。もちろん、これは人それぞれ違くて良いです。ただ、このように何か計測できるような具体的なものに落とし込むことが、因数分解する際に必要になります。

そして幸運を掴み取る回数というところまで具体性を持てば、それは幸運に出会う回数×掴み取る確率に分解することができます。

ちなみに、このように「〜の確率」「〜率」というのは因数分解では良く出てきます。

そしてさらに、幸運に出会う回数と掴み取る確率をどうやってあげれば良いかという観点から因数分解すると、下図のように因数分解できます。

  • 幸運に出会う回数=k(行動範囲×行動回数)
  • 掴み取る確率=k’(会話スキル×その他スキル)
  • kは0以上1未満

というように因数分解(定義)しました。もちろん、これも僕なりの定義です。人によっては異なった因数分解になるかもしれません。ただ、とにかく因数分解していく過程で、より具体的にしていくことを意識する必要があります。

さてここまで因数分解すれば、「運の良さを向上する」といった時に、「行動範囲を広げる」「行動回数を増やす」「会話スキルを向上させる」「その他スキルを向上させる」といった実行できるまでになりました。

このように、因数分解の際のポイント2つ目は「問題を具体的に定義する」ことですが、そもそも因数分解そのもの自体が、問題を具体的に定義するものだとも考えられます。なので、因数分解しているのに、具体的になるどころか抽象的になっていたら、それは因数分解のやり方が間違っているということになります。

ポイント3:MECEを意識する

因数分解する際のポイント3つ目は「MECEを意識する」です。

MECEについては下の記事に詳しく書いてあるので、こちらを参考にしてください。

ここではMECEを因数分解で意識する事に焦点を当てて説明します。

MECEはロジックツリーなどにも使われて、ビジネスにおいてはとても大事な考え方ですが、それは因数分解においても例外ではありません。

例えば、先ほどの「売上高」=「各店舗売上」×「店舗数」という式。各店舗を分解すると北海道・・・沖縄になるという話はしました。もちろん、各店舗を地域ごとに区切れば、北海道から沖縄まで、47都道府県あげてMECEになります。ただ、ここに東京や神奈川などが入っているのに首都圏などの要素が混ざると、MECEではなくなってしまいます。

このように、因数分解を十分した後には、各々の要素を分解していくと思いますが、その際にはMECEを意識する必要があります。

と言っても、因数分解の時に特別MECEを意識しましょうというわけではなく、ビジネスにおける思考では常にMECEに思考することが大事ですね。

ポイント4:切り口を考える

因数分解する際の最後のポイントは「切り口を考える」です。

この「切り口」をどう設定するかが、因数分解の際には重要であり、最も発想が大事になる部分です。

簡単な例で言えば、先ほどの売上高。売上高を店舗という切り口で考えるか、顧客層という切り口で考えるかで、大きく変わってきます。

売上高を店舗という切り口で切って分析したのと、年代別売上という切り口で切って分析したのとでは、この後施策を考える時に大きく異なってくるのはわかると思います。

もちろん、今回はとても単純な例ですが、課題が複雑であればあるほど、いかに良い切り口を見つけられるかが重要となってきます。

ポイントまとめ

今回説明した、因数分解する際のポイントをまとめると

  • 一つの言葉を複数の言葉で表すという意識で掛け算に直していく
  • 課題設定は具体的にする、因数分解する際は抽象→具体を意識する
  • MECEを意識して要素分解する
  • 課題ごとに適切な切り口を用いる

これら4つのポイントを意識して因数分解すれば、ただ闇雲に因数分解するだけよりも効果的な施策を打てるような分解ができるはずです。

因数分解は多くの場面で役立ちますが、特にロジックツリーを作成する際に役立ちます。ロジックツリーと因数分解を組み合わせれば、強力なビジネスツールとなりますので、この際ロジックツリーも学んでみてください。

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