こんにちは、外資系コンサルタントのTAKAHIROです。
効率的に仕事をこなすための数ある仕事術の中でも、15年以上愛されていて根強い人気を誇る「GTD」。
これだけの年数生き延びてきた仕事整理術であり、愛用している人も多い仕事術なので、かなり役立つ方法なのは間違い無いです。
しかし、本「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」は結構な分厚さで、初心者が本にある内容全てを実践するとなるとやや難しいのも事実。
そこで、これからGTDを始めるあなたに向け、3年間GTDを実践してきた私が、GTDの中でもここは実践した方がいいと思う部分に絞って説明します。
gtdとは
まず、GTDを身につけるとどうなるの?どこが他の仕事術と異なるの?という点を復習。
GTDとは英語「Getting Things Done」の略であり、効率的・ストレスフリーに仕事を行うための仕事整理術です。
GTDを身につけると、あなたは
- 常に頭の中をクリアに保ち、仕事に追われる事なくむしろ追うようになり、目の前の仕事に集中して取り組める
ようになります。そのために行う概要は、本「ストレスフリーの整理術」で以下のように書かれています。
- 頭の中の「気になること」を”全て”頭の外に追い出そう。
頭の中で覚えておけることには限界がある。「あ、あれを忘れていた!」というストレスから解放されるには全てを頭の外で管理する必要がある。- それらすべての「気になること」について、求めるべき結果と次にとるべき行動を決めよう。
このふたつの質問に答えることによってのみ、「気になること」が初めて気にならなくなる。そうするとすっきりとした頭で作業ができるようになる。- そうして決めた、とるべき行動を信頼できるシステムで管理し、定期的に見直そう。
気になることのすべては常に更新し、「最新の状態」を保つことが重要だ。そうしないとほかにやるべきことがあったのではないかと不安になり、集中することができなくなる。
つまり、頭の中の気になる事全てをメモ帳やiPhone、Evernoteなどに書き出し、気になる事全てを徹底的に管理しよう、というのがGTDになります。
これだけ見ると、他の仕事術と大差ないように思えますが、GTDではこのタスク管理が非常に実行しやすいシステムとしてまとまっています。世にある数多くの仕事整理術は、しっかり実践すれば効果がある反面、実践するのが非常に難しい・面倒くさいものが多い。それをなるべく簡単なプロセスで実践できるようにしたのがGTDです。
またもう一つ、仕事整理術と言いながら、「頭の中にある全ての気になる事」を管理するのもGTDのポイントです。「頭の中にある全ての」という通り、仕事に関する事以外のタスクも全て管理します。例えば「旅行の計画を立てる」と言った事も、GTDでは管理します。
なぜ全ての気になることを管理するのかと言えば、頭の中に気になる事があると目の前のことに集中できないからです。あなたも仕事中に次の休みのことなど仕事とは関係ない事が頭に思い浮かんだことは、一度や二度はあるでしょう。人間は少しでも頭の中に気になる事があると、それについて無意識下で考えていて、不意に顕在意識まで上ってきます。そして集中が阻害される。このようなことを防ぎ、目の前のことに集中するために、頭の中にある全ての気になる事をGTDで管理します。
では早速GTDを実践するために必要なもの、準備に取り掛かります。
用意するもの
用意するものは以下のものです。
- iPhoneなどのスマホ(and PC)
- iPhone純正メモ帳 or Evernote or Google Account など
以上です。これだけで大丈夫。
このGTDが登場した初期は、スマホが発達していなかったため物理的なファイルを何個も用意したりしていたそうですが、スマホがメモ帳やファイルがわりになった現代では、明らかにスマホの方が効率良いので、スマホを使用した方がいいです。
またPCもあると、タスク管理がしやすくなるのであった方が良いです。今ではスマホとPCの同期も簡単であり、どちらでも管理できるようにしておくのはメリットです。ちなみに、PCだけで管理するのはお勧めしません。外出先など、ふと気になる事ができた時などにすぐにGTDで管理できないので。その場で常時GTDの管理画面を見たり編集したりできるスマホは必須です。
あとはiPhoneなどスマホで使用するメモができるアプリが一つあれば準備は万端。僕はiPhone純正のメモ帳を使ってます。Macユーザーは、iPhone・Mac純正のメモ帳がiCloudで簡単に同期できるのでお勧めです。ちなみに、GTD用の専用のアプリOminiFocus(Mac,iPhone,iPadアプリのGTD専用アプリ。本書の著者が監修しています)というものがありますが、値段が少々高いので、こちらはGTDに慣れてきたら使用するという形でいいでしょう。
スマホとメモ系のアプリ準備しましたか?では、実践の手順を見ていきます。
やり方の手順(準備〜実践)
GTDの実践は、本「ストレスフリーの整理術」に書いてある事を全て実践すると、最初は面倒臭く感じ、挫折してしまうからもしれません。僕は最初本書に忠実に実践しようと思ったのですが、細かいTipsが多いため挫折しました。現在ではやや簡略化して実践していますが、それでも十分GTDの効果を感じられています。
今回この記事でも、本に書いてある事全ては説明せず、少なくともここはやっておいた方がいいと思われる部分について説明します。(細かいTipsなど、GTDについて全て余す事なく知りたいという人は、この記事を読み終わったら次は本を読んで見てください。)
まず、GTDのタスク管理の一連のプロセスは以下の通り
- 頭の中の気になる事全てをメモ帳に書き出す
- 書き出したものを各リスト(次やる事リスト・プロジェクトリストなど)に分類する
- 定期的にGTDを更新する
- 都度次やる事リストを消化する
このプロセスに従ってGTDは行われます。
このプロセスを図にしたものが以下の図です。
このプロセスを遂行するために、スマホのメモ帳(メモ帳・Evernoteなどなんでも良いですが、この記事ではメモ帳に統一します)に、まず以下のカテゴリーを作成します。
メモ帳にカテゴリーを作成する
- inbox(気になる事リスト)
- 資料リスト
- 保留リスト
- プロジェクトリスト
- 連絡待ちリスト
- 次やる事リスト
上記のカテゴリーをまず作成します。
本では更に多くのカテゴリーが書かれていますが、最低限上記のカテゴリーがあればGTDは実践できるので大丈夫です。
カテゴリーを作成したら、早速GTDを実践していきます。
収集する(全てのタスクを書きだす)
まず頭の中の気になる事を”全て”inboxに書き出します。
例えば以下のような事です。
- 次のプロジェクトの資料集めをする
- 来週の金曜日にクライアントと会議をする
- TOEIC800点を取る
- 花火大会の計画を立てる
- 最近お腹の調子が悪い
- 12月に近所に蕎麦屋さんができる
上2つは仕事の事、真ん中は自己実現に関して、下3つはプライベート(自分のこと)です。このように、まず最初に気になること”全て”をinboxに書き出します。この際、本書では所要時間は1〜6時間くらいかかるものと書かれています。つまり、それだけ徹底的に頭の中にある気になる事を”全て”書き出す必要があるという事。
実際に僕が初めてGTDを実践した時も数時間はかかりました。ここを怠ると、結局頭の中に気になる事が残る状態になりGTDの効果が半減してしまうので、時間のあるときに腰を据えて取り組みましょう。
とは言っても、どうしても取りこぼしはあるもの。そういう場合は後からinboxに追加すればいいので、そこまで神経質になりすぎることもありません。
書き出すコツとしては、「場所」「人」「仕事」など様々なカテゴリーを思い浮かべて、それに関する事を一気に書き出すというものが本書で紹介されています。僕もこれに従い、「遊び」「仕事」「自己研鑽」などとにかく色々分類しながら、それに関連する気になる事を書き出していきました。
さて、頭の中の気になる事をinboxに書き出したら、次はそれらをメモ帳の各リストに分類していきます。
処理&整理する(タスクを実行 or 適切なリストに分類する)
inboxに気になる事を書き出したら、次は処理&整理です。まず最初に考える分類基準は、inboxに書いた事が「行動の必要があるかないか」という事。
例えば、「次のプロジェクトの資料集めをする」というタスク。これは明らかに次の行動が必要なのはわかると思います。行動しなければ資料は集まらないので。一方、「12月に近所に蕎麦屋さんができる」。これは凄く行きたい場合は「12月に行く」という行動が必要ですが、とりあえず蕎麦屋ができるんだな程度の場合は特に行動を起こす必要はない、ただメモはしておきたいだけです。
このように、最初のステップでは「行動する必要があるかないか」という観点で、inboxに書いたタスクを仕分けして行きます。その際、分類は
- 単なる事実・情報→資料リスト
- とりあえずは行動の必要が無いもの→保留リスト
- 行動の必要があるもの→次のステップへ
と分類します。
ここで、行動の必要があるもの、例えば先ほどの「次のプロジェクトの資料集めをする」や、「TOEIC800点をとる(急ぎでなかったら保留リストに入れても良い)」と言ったものは次の分類ステップで分類します。
行動の必要があるものは、次は「2分以内で実行できるかどうか」「簡単なタスクかそれとも複雑なタスクか」という観点で分類します。
まず「2分以内で実行できるかどうか」というのはそのままで、行動する際に2分以内で実行できるかどうかを判断します。そして2分以内で実行できる場合はその場で即実行します。例えば、「ボールペンをAmazonで注文する」というタスク。これは明らかに2分以内で実行できるので、その場で即注文。2分以内で完了できるタスクは、他のリストに保存する時間や考える時間それ自体が勿体無いので、即実行してしまおうという事です。
次に2分以内で実行できないタスクを、「簡単なタスク」と「複雑なタスク」に分けます。ここで、簡単なタスクとは明確に定義されていて、「1つのステップで実行できるものは簡単なタスク」です。例えば、「次のプロジェクトの資料集めをする」と言ったもの。これは簡単なタスクでしょうか?それとも複雑なタスクでしょうか?
「次のプロジェクトの資料集めをする」は大抵「複雑なタスク」に分類されます。なぜなら、資料集めというのには実はいくつかのステップが含まれていることが多いからです。資料集めをすると言った時、実際はいきなり資料集めをするのではなく、どの媒体(インターネットなのか本なのか」で資料を集めるのか、いつまでに集めるのか、どの程度の情報が必要なのか、と言ったところをまず確認します(実際はもっと確認することがある場合が多い)。つまり「次のプロジェクトの資料集めをする」と言っても、実際のステップは
- 誰向けの資料か確認・調べる→どの程度のレベルの資料を集めればいいのか確認・調べる→どの媒体で情報収集するか決定する→期限を確認する→資料集めを開始する
と言ったステップを踏むことが多い。このように1つのステップと思われるものも、実は何個ものステップが含まれていることが多いので注意です。
あるタスクが1つのステップか複数のステップか見極めるコツは、そのタスクが一つの作業で完了できるか考えること。先ほどの「次のプロジェクトの資料集めをする」は、実際取り掛かる場合を想定すると、いくつものステップが含まれていることがわかると思います。そのように、頭の中で実際そのタスクを行なっているところを想像してみるのが、タスクが簡単か複雑か見極めるコツです。
ここで「簡単なタスク」と「複雑なタスク」に分類したら、「複雑なタスク」は「プロジェクトリスト」に入れます。一方、「簡単なタスク」に分類されたタスクは、次のステップに進みます。
これで分類は最後のステップ。あと少し頑張ってください。
ここでは、先ほどのステップで「簡単なタスク」に分類されたタスクを分類するのと、「プロジェクトリスト」にあるタスクを分解して分類します。
まず「簡単なタスク」を3つに分類します。
- 人にやってもらうタスク→連絡待ちリスト
- 特定の日付にやるタスク→カレンダーに記入
- 空き時間などいつやってもいいタスク→次やる事リスト
の3つに「簡単なタスク」を振り分けます。
それぞれ簡単に説明すると、「人にやってもらうタスク」とは部下や友達などに振るタスクのこと。これはそのままなのでわかりやすいですね。と言っても、何でもかんでもタスクを振ると嫌われるのでほどほどに笑
2つ目の「特定の日付にやるタスク」とは、もうすでにやる時間たいや日付が決まっているもの。仕事なら「クライアントとのミーティング」などは日付も時間も決まっている場合が多いので、そういう日時の決まったものはカレンダーに記入してしまいます。
3つ目の「空き時間などいつやっていいタスク」とは、「エクセルにクライアントの情報を記入する」など、なるべく早くやる必要のあるタスクのこと。これらのタスクを「次やることリスト」に記入します。もちろん、ここまでステップを踏んできたタスクなので「簡単なタスク」です。一つのステップで完了できるタスクのみが「次やることリスト」に入ることに注意してください。
さて、これで終わりとしたいところなんですが、もう一つやることが残されています。それは「プロジェクトリスト」に入っているタスクをすぐ実行できるまで分解して「次やることリスト」に入れることです。例えば、先ほどの「次のプロジェクトの資料集めをする」を
- 誰向けの資料か確認・調べる→どの程度のレベルの資料を集めればいいのか確認・調べる→どの媒体で情報収集するか決定する→期限を確認する→資料集めを開始する
このように分解した後、「誰向けの資料か確認する」や「どの程度のレベルの資料を集めればいいのか確認する」というタスクを「次やることリスト」に記入します。これで「プロジェクトリスト」に入っているタスクが、「次やることリスト」に入っているタスクをこなしていくことで進むことになります。
これでやっと分類は終了。お疲れ様でした。あとは各リストに振り分けられたものをその場面に応じて実行していくだけです。
選択&実行する(その場に応じてタスクを選択&実行する)
さて、分類はもう終了しました。あとは基本的に「次やることリスト」に入っているタスクを実行していくのと、カレンダーに記入したタスクをこなしていくだけです。
もちろん、仕事中でしたら仕事に関係する「次やることリスト」に入っているタスクをやるでしょうし、帰宅後の自由時間はやりたいことや自己研鑽の「次やることリスト」に入っているタスクをやるでしょう。
とにかく、ここまできたらあとはどんどん「次やることリスト」に入っているタスクを消化していきます。
ただ、もちろん気になる事や仕事は常日頃から増えるので、増えたらその都度inboxに入れ、定期的に上のプロセスを経て各リストに分配します。
定期的にGTDを更新する
仕事が増えたり、気になることが出てきたらGTDを更新しなければなりません。ただ、都度上のプロセスを行うのは結構面倒臭い。そこで、基本的には仕事が増えた時や気になることが頭に思い浮かんだら、とりあえずinboxに記入します。
そして、自分で決めた周期で上記の一連のプロセスを実行して、inboxに入っているタスクを各リストに振り分けます。例えば僕は、1日の終わりに重要なタスクを、毎週金曜日に1週間分の重要でないタスクを上記のプロセスを通して各リストに振り分けています。
このように定期的にGTDのリストを更新することで、常に「全てのタスクを管理している感」を得ることができます。そうする事で、仕事など何かしているときに他の事を心配せず、目の前のことに集中できるわけです。これが、GTDがストレスフリーの整理術と言われる所以です。
重要なのは頭の中を常にクリアに保つこと
生産性をあげる上で重要なのは、頭の中をクリアに保ち目の前のことに集中することです。
そのためには頭の中にあるすべての「気になること」を把握し、管理しているという意識が必要です。
従来のメモ帳やToDoリストでは、変化の激しい現代において全ての「やるべきこと」「気になること」を管理することは難しいです。
また「やるべきこと」に優先順位をつけることも難しいです。というのも、変化の激しい現代では、個々のタスクの優先順位など明日には変わっているかもしれないからです。
そこで登場するのが本書で紹介されているタスク管理方法:GTDです。
このGTDにより、全ての「気になること」を把握し、「何か忘れているのではないか」という不安から解放されて、目の前のことに集中することができるようになります。
変化の激しい現代における個人の仕事においては、その場その場で「やるべきこと」を集中してこなしていくことが、多くの仕事をこなすのには必要になります。
GTDについてさらに細かいところまで知りたい方は、是非本を参考にして見てください。この記事に書いている事がGTDの幹の部分ですが、本に書かれているTipsを用いる事で、あなたにとってより効率的・ストレスフリーな仕事整理術になるはずです。